バラクーダ

さよならするまで遊ぼうよ。

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マガジン

  • エッセイ集

    思ったことや、考えたこと。バラクーダの頭の中。

  • 【本】について

    本の紹介、本についての記事をまとめました。

  • バラクーダの物語

    私の愛を込めた物語たちの保管庫。

  • 重要文化財

    何度も読み返したい、スキ以上の記事たち。

  • 【料理】を考える

    様々な料理について考えてみました。

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私が好きなSF小説 5選

こんな話を聞いた。 ビジネスマンが、男に尋ねる。 「本は読むかい?」 「まぁ、多少は」男が答える。 「どういうのを読む?」 「小説ですかね、主にSFとか」 ビジネスマンは自分の仕事に誇りを持っている。 今、世界の経済に自分は最先端の場所で関わっていることを。 それこそがビジネスマンのアイデンティティであり、全てであった。 「小説って、それを読んで何になるの?」 「何になるって、どういう意味?」男は訊ねる。 「いや、だって小説って作り話でしょ? この世にない架空の話でしょ

    • 自慢話は嫌われる (エッセイ)

       転職活動をしていた頃、面接の練習というものをした。大抵は大学生のうちにやるであろうこの練習を私は中年になってから経験したのだ。  なにせ今までは飲食店でいくつか店を変えてきたが、そこでの面接は世間話みたいなものだった。店長クラスの人が出てきて履歴書を眺めたあと、一言二言の質問で終わってしまう。一番早かったのは先方が開口一番「いつから働けますか?」の一言で、「いつからでも」と答えたら、「じゃあお願いしようかな」とのことだった。  しかし、今回は違う。転職の軸を「飲食以外」で

      • 【ブックレビュー】100万回生きたねこの、100万分の一回のお話

        1977年刊行、佐野洋子さんの絵本『100万回生きたねこ』 説明不要、絵本の金字塔です。 その『100万回生きたねこ』へのトリビュート短篇集 『100万分の一回のねこ』を今回は紹介します。 参加している13名の作家はこちら、 なんとも豪華ですね。 このnote内でも同じテーマで作品を集う個人企画などが存在しており、私もたまに参加しています。 もちろん、参加して自分で書くのも楽しいのですが、他の参加者の作品を読むのが好きなんですよね。 なるほど、そんな視点があったとか、

        • 【短編小説】五月病ドライブ (後編)

          前編はこちら  そもそも健吾は車に興味はなかった。  大学時代、取れる時に取っておこうと免許を取得し、せっかく免許をとったのだからと中古車を買った。  トヨタのカローラアクシオにしたのは教習車と一緒だからだ。教習所で慣れた車の方がその後乗りやすいという理由だけだった。  今でもあれに乗ってみたいとか車種にあまり興味がない。大学の周りの連中は背伸びをしてSUVを買ったり、中古のスポーツカーに乗ってる奴もいた。  だが今ではこのカローラに愛着がある。  免許を取り立ての頃、四

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        私が好きなSF小説 5選

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        • エッセイ集
          21本
        • 【本】について
          21本
        • バラクーダの物語
          17本
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          11本

        記事

          【短編小説】五月病ドライブ (前編)

           突然、健吾の携帯電話が鳴った。  まぁ、電話というのは突然鳴るものだが、未だに電話がなると少しビクッとしてしまう。心臓に悪い。  画面を見ると恋人の琴葉からだった。 「あのさ、用がある時はまずLINEしてって言ってるじゃん。そしたら俺から電話かけるからって」 「あー、そうだった、ごめんごめん」  悪びれることなく琴葉は謝った。 「でもさー、もう前の会社からは電話こないでしょ。退職代行使ってちゃんと辞めたんだし。それに番号も変えて、今の番号知ってる人数えるほどしかいないんでし

          【短編小説】五月病ドライブ (前編)

          小説の題材を探している(エッセイ)

          私が趣味として小説を書き始めたのはこのnoteが初で、まだ一年も経っていない。 その難しさ、奥深さを痛感しているところだが、それが楽しさにも直結しているのが現在の感想だ。 今、青春小説を書いている。 出来れば今月中に投稿したいなと、今日みたいな休みの日と仕事終わりに少しずつ進めている感じだ。 青春小説と言っても自分の体験とはかけ離れたものにした。自身の体験を元にすればリアリティが出たり、体温のような熱が入るというメリットもあるけれど、今回は創作ものとして書き上げたかった。

          小説の題材を探している(エッセイ)

          【フードエッセイ】はじめて作ったまかないは麻婆豆腐でした

          初めて自分で作った料理というのは何だったのだろう。 子供の頃、妹と一緒に作った『目玉焼き』だろうか。定かでない。 余談だが、目玉焼きは料理と呼べるのかという言説をたまに聞くけど、私は立派な料理だと思っている。 それ以来、料理を作るのが好きになったかと言えば全くそんなことはない。 高校を卒業してなんとなく始めた居酒屋のアルバイトまで料理に興味はなかった。 そんな、なんとなく始めた料理が長年自分の生業となり、好きで始めた趣味のギターは放置してしまっているのだから人生分からないも

          【フードエッセイ】はじめて作ったまかないは麻婆豆腐でした

          【ブックレビュー】坊っちゃんだらけの松山で『坊っちゃん』を読む

          先日の愛媛旅行に向かう道中、せっかく松山に行くのだから『坊っちゃん』を読んで向かおうと思った。 言わずと知れた、夏目漱石の初期の名作『坊っちゃん』 私も読んだことがあるはずだが、ストーリーをまるで忘れてしまっていた。 なるほど、こんな書き出しだった。 国語の教科書で読んだ記憶だ。 そんな教科書に載るほどの作品なので、今回はネタバレ全開でのレビューになることを先にお伝えしておきます。 あらすじ 東京生まれの主人公(坊っちゃん)が、四国(松山)の学校に数学教師として赴任し

          【ブックレビュー】坊っちゃんだらけの松山で『坊っちゃん』を読む

          私の黄金週間 (日記)

          昔、手帳を使ってスケジュールを管理していた時期がある。 まぁ、スケジュールと言っても週6で仕事をしていた頃だ。空いている時間に誰々と飲んだとか、そんなことしか記していない。 ただ、その頃の手帳を見返すとその時の自分の交友関係がよく分かった。中にはもう疎遠になり会わなくなった人の名前も記してあり、少し切ない気持ちになった。 私には日記を書くという習慣がない。たまに入る予定も今ではスマホで管理している。 写真だけではなく、何かを記して残しておくのは振り返る時にいいものだと思った

          私の黄金週間 (日記)

          平凡な毎日を嘆かない(エッセイ)

          年齢のせいにはしたくないが、朝起きて「今日は体調が絶好調だな」という日が少ない。 腰が痛かったり、なんとなく倦怠感があったり、二日酔いだったり。身体のどこかが不調をきたしていることがほとんである。 年に何度か、たまに朝起きて身体が軽く、頭は冴え、体調が素晴らしい日がある。 そんな日はそれだけで気分が上がる。 とはいえ、そんな日に何か特別なことが起こるかといえばそんなことはない。 何が言いたいかといえば、私の生活は体調の良し悪しに関係なく、基本平凡なのである。 しかし、そん

          平凡な毎日を嘆かない(エッセイ)

          物語を味わう楽しみ、物語を創る喜び

          我々はこれまでどれだけの物語に触れてきたのだろう。 小説、漫画、アニメ、ドラマ、映画。 歴史や古典の教科書、歌の中の詩の世界だっていい。 私自身で考えても、文字通り数えきれないほど触れてきたと思う。 細部まで覚えているものは少ない。むしろ、ほとんどの話は忘れてしまっている。 では、忘れてしまったのなら意味がないことだろうか? 否、そんなことはないはずだ。 自分の人生という一番の物語、昔のことを忘れてしまったらそこに意味はなかったのだろうか。 いつか自分が認知症になったら、そ

          物語を味わう楽しみ、物語を創る喜び

          遥かなるオルゴール #青ブラ文学部

          「なんでも、小さなオルゴールを貰ったらしいのよ」  晩酌中の妻が言った。  先日13歳になった中学生の娘の話だ。 「それがどうもボーイフレンドからっぽいの。かわいいでしょ?」  赤ワインを飲みながら嬉々として喋っている。  ボーイフレンド?  父親の私としてはその言葉にひっかかったが、実はオルゴールという単語にも興味が湧いていた。 「へぇ、オルゴールねぇ」  動揺と興味を悟られないよう、私も缶チューハイに口をつけた。 「ベッドの横に置いてあって私にも触らせてくれないのよ」

          遥かなるオルゴール #青ブラ文学部

          愛媛旅行記 (後編)〜ぼくらが旅に出る理由〜

          前回からの続き 旅行二日目。 宿をチェックアウトし、松山へ。 ブランチは鍋焼うどん『ことり』と決めていた。 そう、こちらも映画『がんばっていきまっしょい』に登場した聖地である。 レンタカーを返し、ここへ来る時に乗ったタクシーの情報では松山市民は讃岐うどんを好む人が多いと聞いたが、この柔らかいうどん、なんとも美味しいじゃんすか!! 出汁も関東にはない風味。正直、かなり期待してこの店まで来たが、その期待を上回る美味しさ。大満足です。 食後の散歩がてらに松山城へ。 (人生

          愛媛旅行記 (後編)〜ぼくらが旅に出る理由〜

          愛媛旅行記 (前編)~ぼくらが旅に出る理由~

          旅の名言というのはいくつもあるが、その中でも写真家、星野道夫さんのものがシンプルで好きだ。 そんな訳でいざ、愛媛へと出発しました! 先日の記事でも書いた通り、初の四国旅行。 結論から書いてしまえば、初の四国に愛媛を選んで本当に良かったなと思っています。 一泊二日のタイトなスケジュールだったので、それなりに詰め込みましたが大満足でした。 それにしても、この四月から転職をして夢の土日休みを獲得した途端、まだ仕事も慣れてないのに早速土日を旅行に費やすなんて我ながらアクティブ!

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          趣味との向き合い方 (エッセイ)

          自分が気分屋かどうか考えると、認めたくはないが気分屋の部分はある。 もちろん、気分次第で仕事に行かないなんてことは出来ないが、それ以外のものは割と気分で決めている気がする。 食べ物だって気分で決めていいし、自分の好きなもの(趣味)だって気の向いた時に楽しめばいい。何も問題はない。 自分の趣味で言えば、本を読みたいときに読書をするし、映画が観たければ映画を観る。音楽だって同様だ。このnoteだって、書きたいときに書きたい内容を書いている。 逆にそれらをしないのは、疲れていると

          趣味との向き合い方 (エッセイ)

          祈りの雨を待っている #青ブラ文学部

          今回はこちらの企画に参加させていただきます。 山根さん、今回も宜しくお願い致します。 「祈りの雨を待ってるの」  少女はそう答えた。  公園前の交差点、少女はそこに立っていた。  男は公園内の喫煙所から何気なく交差点を眺めていた。歩行者用の信号が青になっても少女は渡る素振りがない。そして信号は赤に変わる。男が缶コーヒーと一緒に2本の煙草を吸っている間、少女は立ち続け信号は変わり続けた。  男は非番の警察官であった。職業柄、人々の動きの異変には敏感だ。小学生と思われる少

          祈りの雨を待っている #青ブラ文学部